Q 現在発効されている「容器包装リサイクル法」の内容と、その問題点。
A 家庭から出るごみの容積比を見ると、約60%をペットボトルやトレイ、ポリ袋などの容器包装ごみが占めています。このままでは埋め立て処分場が一杯になってしまうので、それらをリサイクルしようという目的で「容器包装リサイクル法」ができました。

この法律では、「消費者が分けて出す」「市町村が集める」「容器包装に関わる事業者がリサイクル」するということが決められています。

ごみを集めて、汚いものをより分けたり、保管したりするまでは市町村のお金(税金)で負担しますが、それから先の工程は事業者が負担します。
こうしてリサイクルの仕組みは整ったのですが、容器包装ごみは減らず、繰り返し使えるリターナルびんは減ってしまいました。

理由は、市町村が負担するお金が事業者の分より多いからです。市町村は容器包装を集めれば集めるほどお金がかかり、負担が増えていきます。一方で、事業者は安いお金でリサイクルできるため、過剰包装を減らそうとしたり、リユース容器に変えようとしません。
Q 改正を求めるために行われている全国ネットの活動内容と、おもな実績。
A 2003年10月、ごみ問題の解決を目指す市民や団体が集い、「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」を立ち上げ、全国で請願署名に取り組みました。

2004年6月には超党派の国会議員212人の紹介を得て、約94万人分の署名を国会に提出しました。さらに、市町村議会から国へ向けて意見書を出すための働きかけをして、現在350以上の地方議会から意見書が提出されています。このような動きをみても、多くの方が改正を望んでいることがお分かりでしょう。

請願署名や意見書は「(1)容リ法を改正し、市町村が負担している収集・選別・保管にかかる費用を事業者が負担して製品の価格に含めること、(2)まずリデュース(ごみを出さない)、次にリユース(繰り返し利用する)、最後にリサイクル(もう一度資源として活用する)の優先順位で進めるために、さまざまな手法を取り入れる」という内容です。

次に、容リ法改正のための「市民案」づくりに取り組みました。大きな改正点は「事業者が収集から再商品化までの役割を担い、最終的にその費用を商品の価格に含める」ということです。そうすれば、事業者は過剰包装をなくし、リサイクルコストの少ない製品づくりに転換するようになります。

2004年7月より、環境省の中央環境審議会と経産省の産業構造審議会で審議が始まり、中環審には全国ネットの代表が参加しています。6月には中間まとめが出される予定です。

  ・容器包装リサイクル 改正市民案(ダイジェスト版・PDFファイル、約36KB)
Q ペットボトルなどを国内でリサイクルせず海外に輸出することは、日本にとっていいこと。それともよくないこと?
A よくないことです。大量リサイクルを助長するだけです。環境負荷のできるだけ少ない、適正なリサイクルを行うためには、国内でのリサイクルが望ましいのはいうまでもありません。

また、中国などが自国の再資源で賄えるようになった場合は、日本に大量の廃ペットボトルがあふれてしまうことになります。

収集費用の負担が重いため、市町村によっては容リ法を離脱して有価で売るところが出てきましたが、容リ法を改正して事業者がリサイクルにかかる費用を負担することで、問題は解消できます。
Q 事業者・生産者の責任がより求められなければいけない、ということですね。
A そのとおりです。市町村の税金で収集などを行う場合、ペットボトルを買う人も買わない人もそのお金を払わざるを得ませんが、利益を得る事業者と便益を得る消費者がその費用を負担すれば、そうした不公平は解消されます。

ごみも減らず、お金をかけて大量にリサイクルする、これではごみ問題は解決しません。生産者は製品がごみになってからも責任を負う「拡大生産者責任」という考えが、EUをはじめ世界中の共通認識になりつつあります。

事業者と消費者がリサイクルコストを負担することでごみが減り、環境負荷も軽減できる、そのような法律に変えていきたいと思います。
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