市民と議員の条例づくり交流会議
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◆第3分科会「予算をめぐる長と議会の関係」
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はじめに「自治体財政をめぐる状況と議会の役割」
加藤良重(法政大学兼任講師/コーディネーター)
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本日は、はじめに私から、自治体財政をめぐる状況と議会の役割について簡単に整理と問題提起をさせていただき、その後、飛田さんから夕張市の事例分析と課題についてご報告いただく。飛田さんは午前のみのご参加なので、このテーマについてのディスカッションは午前中に行いたい。フロアからも活発に議論にご参加いただきたい。
■自治体財政をめぐる環境変化
(1)高齢少子・人口減少社会
一般的には少子・高齢化社会というが、私は「高齢少子」が的確な表現であると思う。まずは、高齢者が問題なのであり、その後に少子化の問題と、比重としては高齢化の方が大きい。高齢化は急速に進んでおり、2005年の国勢調査の結果では65歳以上の人口割合は20%を超えている。同時に、世界トップレベルの長寿社会でもある。少子化については、1950年には、子どもの割合は35.4%であちこちに子どもがいたわけだが、2005年には13.6%。合計特殊出生率は、とうとう1.25にまで下がってしまった。総人口は2006年をピークに減少するとされたが、実際には、昨年から人口減少社会に突入している。こうした状況の中で自治体は、高齢者、子どもにかかわる福祉・教育、地域の活性化といった政策領域に中心的な役割を担っていかなければならないのである。
(2)財源縮小・財政硬直(いずれも地方財政白書より)
まず、歳入純計決算額の推移を見ると、2000年度の1,002,751億円が以降、年を追って減少しており、2004年には、934,422億円にまで財源が縮小している状態だ。
次に、財政構造の弾力性ということでは、経常収支比率は一般的に70〜80%が適正水準だとされながら、2004年度で90%を超えている。さらにこれらは、減税補てん債と臨時財政対策債を一般財源、分母に含めて計算している。これは後年度の地方財政交付税の基準財政需要額に参入されることになっているわけで、言ってみれば、将来交付予定の地方交付税の先食いをしている、あるいは分母を底上げしているのではないか。そうすると、本来見るべきはカッコ内の数字(減税補てん債と臨時財政対策債を分母から除いて計算したもの)で、これをみると2004年は、すでに100%近い状態にある。
また、公債費負担比率は、一般的には15%が警戒ライン、20%を超えると危険ラインだと言われているが、全国の自治体平均は19.4%で、危険ラインすれすれ、あるいは突入している自治体も多い。この経常収支比率と公債費負担率は、全国の市町村・都道府県の平均なので、ぜひ皆さんの自治体がどうなっているのか、比較していただきたい。
そして、将来にわたる財政負担についても見ておく必要がある。地方債の現在高がどのくらいあるのか、債務負担行為に基づく翌年度以降の支出額も合わせて見ていかなければならない。そこから積立金の現在高を差し引いた額が将来にわたる実質的な財政負担となり、全国合計額だが2004年度末で1,395,329億円という膨大な額になっている。
(3)膨らむ政策経費
こうした状況の中、歳出面では政策的な経費が膨らんでいくことになる。特に民生費は、都道府県よりも市町村のほうが割合は大きいが、2004年度の民生費の歳出に占める割合は、市町村は25.3%、都道府県は8.3%となっている。高齢少子、人口減少の中で、民生費が増大していくことに注目いただきたい。
■自治体議会の役割―自治の原点
市民は、選挙と納税によって政府としての基礎自治体に政治・行政を信託しており、都道府県、国に対しても同じ論理である。国では憲法の前文に「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」とあり、自治体では最近の自治基本条例の中に、市民の信託という言葉が明文化されているものもある。この市民の信託に拠って、議会や長の活動もあるのだという「市民信託」が原点である。まずはここから考えていかなければならない。
次に、市民が抱えている生活問題については、まず市民個人が解決にあたる。そして市民個人で解決できない課題については市民組織(近隣・NPO)で解決にあたることが望ましい。そこでも解決できない課題について政府としての基礎自治体が第一次的に解決にあたり、さらにこれを広域自治体→国が補完して解決にあたっていくというのが補完性の原則である。従来、「行政の守備範囲」ということが言われていたが、これは行政側の論理であり、これを補完性の原則という観点から基礎自治体、広域自治体、あるいは国の役割分担を捉えなおす必要があるのではないか。二元代表制の意義、議会機能の強化については昨日からの議論でも出ているので、必要があれば、ディスカッションの中で取り上げていきたい。
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