市民と議員の条例づくり交流会議

第1分科会「議会への市民参画」

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自治体議会の挑戦、議会改革レポート−多摩市、国立市、小金井市/四日市市議会の議会改革−
砂川直美(武蔵野市議会議員)
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■自治体議会への市民参加の事例

 来年の自治体選挙に向け、ネットとしての議会改革に関する政策づくりの活動に取り組んだ。自治体議会への市民参加について調査し、市民参加の実態が極めて非常に少ないことが改めて分かった。

(1)多摩市議会

 時系列的には、レジュメのA→B→@の順番になる。A総務委員会において、自治基本条例の理解を深めるために、公開学習会を実施した。このことが、その後のB自治基本条例のための公聴会や、@出前の総務委員会につながっている。自治基本条例に関する学習や、策定過程で市民との意見交換を行ったことが、総務委員会の柔軟な運用の合意が生まれた、とのことだった。

(2)国立市議会
 し尿処理場一部事務組合の跡地利用を調査検討する特別委員会が、協議の中で、議員主導で市民意見の集約を行った。市民意見をまとめる仕組みづくり、実際のまとめ、市民に呼びかけるポスターを貼る作業についても、議員自らが行った。さらに議員が市民意見により判断指標をつくり、レーダーチャートも作成することで、プロセスが明らかになった。議員同士の合意形成が円滑に進み、最終的に一つの議会案で落ち着いた。

(3)小金井市議会
 インターネット配信と日曜議会の開催については、陳情を受けて勉強会が持たれ、勉強に訪れた先が議会改革に取り組んでいたことが契機になっている。傍聴者も放送日には増えている。前段の議論で、行政は良い案をつくるところ、議会は良い決定をするところ、という意見も出されたが、小金井市では、地下水保全条例を市民が参加して策定した経緯がある。雨水浸透マスの普及や、中央線高架化事業に対し、緑化を進め雨水浸透を促す活動を進める市民団体の存在など、小金井市民にとって、雨水利用・浸透は地域になじんでいるテーマだったことも背景にあり、市民が呼びかけた勉強会や環境関係の市民団体との懇談会などが、議員有志の合意で実現した。地域に合ったテーマのものを、議員提案で条例化できた意義は非常に大きい。

 私たち議会改革チームの取り組みにおいては、他自治体の議会運営の事例を調査・共有したことが、自らの議会改革のスタートとなった。自治体選挙でも二大政党制の傾向が強くなる中で、自分たちのようなローカルパーティーの存在がどう評価されるのか、危機感を感じており、特に四日市の市議会モニター制度に関心が高まった。四日市市議会への視察では、北川県政の時代に進んだ議会改革の機運が県内の自治体にも波及していった経緯、保守系の強い地域で、新人を前面に立てて改革を進める議会全体の合意の工夫、議長選挙の公約で実現した市議会モニター制度、等について説明を受けた。議員同士の自由な討議として位置づけられている「市政活性化推進等議員懇談会」、その中から「議員政策研究会」が設置され、「議会活性化検討会」が開かれている。他にも、地方自治法96条2項の活用による議決事件の拡大、一問一答方式と対面形式の導入、正副議長選挙における立候補制の導入、市議会モニター制度の設置、等を行っているが、特に、議員提案案件の増に伴う議会事務局の体制整備(平成13年に調査係を調査法制係に組織変更、その後平成17年には、調査情報収集と政策法務を担当する調査法制係と、市議会報・ホームページ・市議会モニターなど広報公聴活動を担当する「広報広聴係」へと分割)は、政策提案能力の向上に大きな意味を持つ。

 その後、四日市市の市民団体との交流会を持った(資料4)。市民団体からは、自治基本条例策定プロセスを共有していない点や、市民参加の実態がないなどの厳しい意見が出されたことが印象的だった。市議会モニター制度は、公募ではなく、指名方式で、開催時間など課題はあるが、制度として議会をモニターする仕組みは全国でも四日市だけ、今後の有効な活用が期待されている。

 説明は以上。生活者ネットは、個人が議員になりたい、というより、社会をよりよくする主体者として議員という役割を引き受けている意識が強い。自分としては、今問われている議員の資質、議員とは何か、という本質的な問題、議会改革を選挙で訴えることについても、十分整理していきたいと考えている。

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小山: 資料の訂正のお願い:「自治体の市民参加の事例」(誤)→「自治体議会の市民参加の事例」(正)、四日市「市民モニター制度」(誤)→「市議会モニター制度」(正)

※会場参加者の発言などの文責:市民と議員の条例づくり交流会議実行委員会(事務局)

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