市民と議員の条例づくり交流会議

第4分科会「コミュニティ活動と議会」

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報告「広げよう市民自治!つくろう 市民の政治参加ツール!」

◆佐藤洋子(神奈川ネットワーク運動共同代表)
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 神奈川ネットは、生活の現場に即した課題をどう解決するのかということで、制度提案に取り組んできた。その中で重要性は認識していたが、取り組めていなかったテーマが、オンブズマンという機能だった。

 川崎市では、市の方針として行財政改革から公立保育園の運営を指定管理者に移行することになったが、市民・当事者の不安を解消するような説明がなされていないといったことから、父母の方を中心に不満や怒りが寄せられていた。この問題をどのように解決していくかを考える中で、オンブズマンを活用しようということになった。川崎市には、1990年にリクルート事件をきっかけとして、市民オンブズマン条例が出来、行政への不満の受け皿がつくられている。しかし、この制度・条例を持っているのは神奈川ではほかに藤沢市だけだ。

 横浜市では、先の町田市長選をめぐり、市職員による庁内メール事件があった。この件について情報公開請求を行なっても、文書不存在として情報が公開されない。住民監査請求も行ったが、行政の対応について市民の苦情の受け皿になりえない。また、横浜市では高齢者施設、グループホームをつくるときに、建設時の補助金をどのようなルールで交付が決定されるのかといったことが不透明で、説明が不足していた。こういった行政への苦情をどこに持っていったらよいのかわからない、市民の苦情を受け入れる場、迅速に対応できる受け皿がないことは、市民にとって政治への参加を阻んでいるという実態がある。

 また、現在、議員の定数削減が行政改革の一環として行われているが、議会には、立法機関としての機能とともに、行政監視という機能がある。しかし、この機能がますますなくなってしまうという危機感もあり、それに変わる民主主義のツールとして、オンブズマン制度を取り入れるべきではないか、とを考えている。

 全国でオンブズマン制度を条例化して取り入れているのは17自治体しかない。課題別の福祉オンブズマンなどは31自治体が条例化している。まだまだ市民が日常的に政治に参加するためのツールとして、オンブズマン制度というものが浸透していない。行政がすべての情報を出さない、説明責任を果たさない、ということに対しては裁判を起こすことも考えた。しかし、裁判には時間も費用もかかる。市民自治を広げるという意味において、現に存在している制度、オンブズマン制度を活用していこうと考えている。

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会場参加者: オンブズマン制度は権利救済のイメージで考えていたが、指定管理者の問題などで具体的にどのように運動として活用していくのか。

佐藤(洋): 川崎市にはこのほかに、女性と子どもの権利救済の制度として人権オンブズパーソンがある。これ以外の一般行政に関する苦情申し立て、救済機能としてではなく、苦情の受け皿としてのオンブズマン条例となっている。福祉的なオンブズマンは救済的な機能を持っていないと意味がないと思っているが、ここでは行政対応をなんとかしたいということ。ただオンブズマン条例にも限界があり、議会に同様の請願・陳情がかかるとオンブズマンは調査できない。だから議会の審議では進まない、迅速性に欠けるということから、陳情を下げ、オンブズマンに切り替えたといったこともある。

会場参加者: 埼玉で(条例ではなく)全くの市民オンブズマンをつくり活動している。川崎市の条例が出来たのは行政主導で出来たのか、市民からの盛り上がりによるものなのか。

佐藤(洋): リクルート事件がきっかけであり、市民の運動ではなく、行政主導の条例。

※会場参加者の発言などの文責:市民と議員の条例づくり交流会議実行委員会(事務局)

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