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「メールニュース」 バックナンバー

第267号(2024年10月10日発行)

  

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   容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 267号   2024 年 10 月 10 日

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ごみ処分における公正な費用負担とEPRの意義

瀬戸昌之(東京農工大学名誉教授)

 広く行われている「燃やして、埋める」ごみ処理コストはいくらであろうか。こんな重要な情報が案外と語られも共有もされていない。

 立川市のごみ(2014年)から以下のように推測してみた。立川市は3.56万tのごみを14.6億円で収集(4.10万円、( )内は全て1t当り)し、4.9億円で運営するリサイクルセンターで0.92万tの可燃物を仕分けた(5.3万円)。また、焼却工場で3.55万tの可燃ごみを10.2億円で焼却(2.86万円)した。収集、仕分け、焼却だけで1t当り12.3万円も投入している。さらに、最終埋め立て費、エコセメント生産費、設備解体費などを入れると、「燃やして、埋める」ごみ処理コストは1t当り15万円は超えそうだ。

 この「15万円」を吟味するだけでいくつかの問題が見えてくる。

 たとえば、事業系ごみ処分は事業者の責任であるが、事業者の持ち込みごみを自治体が引き受けて「燃やして、埋める」をよしとしよう。このとき自治体は適正な処理コストを事業者に請求しているであろうか。かつてはほとんどタダか極めて安価に引き受けていたが、自治体は今もせいぜい4万円で引き受けているようである。これでは、不足分を税金で補てんしていることになる。

 さらに、静脈産業を潰すことになる。すなわち堆肥化業者は生ごみ1t当り5〜8万円で堆肥化しているが、事業系生ごみを、4万円で受け入れる自治体をヨコ目に、事業者が堆肥化業者に5〜8万円を払うわけがない。

 さらに、EPR(拡大生産者責任)の意義もいまだ浸透していない。

 EPRはごみ処分は生産者の責任とし、処分費はあらかじめ価格に含めよ、としている。たとえば、EPRが義務づけられたら、ペットボトルのメーカーはたとえば1本当り50円を価格に上乗せし、廃ボトルが返却されたら20円を消費者に払い戻し、30円で廃ボトルを処分する。これで誰もポイ捨てしないし、メーカーは金食い虫の「ボトルリサイクル」や「燃やして、埋める」をさける。50円は飲む人が払うから、「汚染者負担の原則」に則して公正である。

 EPRが社会に定着すれば、「良いことには減税、悪いことには増税」の社会的公正が共有され、利権にブレーキがかかり、ごみ減らし、物質循環への環境意識も高まる。ごみ問題はごみの「処分法」の問題ではない。持続的社会への「公正」の問題である。

------- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------

巻頭言
<1> 第23回プラスチック削減オンライン連続セミナーにご参加ください!
<2> 2024年度スーパーの環境調査・オンライン説明会を開催
<3> 【レポート】マイクロプラスチックが人間の鼻から脳に浸透することが判明
<4> 地域からの報告 小山の環境を考える市民の会 代表 楠 通昭さんからの報告

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■  <1>第23回プラスチック削減オンライン連続セミナーにご参加ください!

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<第23回プラスチック削減オンライン連続セミナー>

 これまでリサイクル推進室で、サーキュラーエコノミーやプラスチック資源循環法の促進に取り組んでこられましたが、改めて、事業系も含めたプラスチック全体を担う新部署の室長として活躍中です。事業系はどこまで進められたのか?自治体の取り組みの進捗状況は?等、最新情報をお聞きします。

日時: 2024年10月15日(火)19:30〜21:00(質疑含)
演題: 『プラスチック資源循環政策の最新動向について』
講師: 井上 雄祐さん(環境省環境再生・資源循環局 容器包装・プラスチック資源循環室長)
詳しくは、下記のちらしをご覧ください↓
http://www.citizens-i.org/gomi0/pdf/seminar241015.pdf
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参加費無料
▼申込み件名: 「第23回プラ削減連続セミナー視聴希望」とし、氏名、所属、TELを明記の上、  
▼ 申し込み先: reuse@citizens-i.org 迄

まだ若干の余裕があります。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
(運営委員長 中井八千代) 

※ 第21回連続セミナー(7/9)小林先生のセミナーで、人工芝について学校などに働きかける場合の資料を作成していただきましたが、その後セミナーの参加者から実際に働きかけたとの報告が、小林先生と当会にありました。

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■  <2>2024年度スーパーの環境調査・オンライン説明会を開催

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 スーパーマーケット環境調査(お店のプラスチック調査)2024年も実施中。
ZOOM説明会を10月29日(火)19時30分〜21:00まで開催します。
説明役 NPO法人環境市民 堀 孝弘

 今年は、調査項目を絞り、ふだんのお買い物のついでに、見たままを報告してもらう方式にしました。期間は11月末まで。どの地域でも、グループでも個人でも。ぜひ調査にご協力ください。

 昨年の調査で見えた、「プラ包装の西高東低(西日本は多く、東日本は少ない)」の傾向は、実際にそうなのか。また、ほうれん草やバナナなど、無包装での販売(ほうれん草はバンド止めも含め)が全国的にほとんどなくなっていることも明らかになりましたが、どうすれば、プラ包装を減らせるか、みんなで糸口を見つけましょう。
まずは、10月29日(火)のZOOM説明会にご参加ください。
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参加費無料
▼申込み件名: 「スーパーの環境調査・オンライン説明会希望」とし、氏名、所属、TELを明記の上、 
▼ 申し込み先: reuse@citizens-i.org 迄
多くの皆様のご参加をお待ちしております。

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■  <3>【 レポート】
■  マイクロプラスチックが人間の鼻から脳に浸透することが判明

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 マイクロプラスチックとは、5mm以下のプラスチックを指します。1マイクロメートル(1μm)は1ミリメートルの1000分の1の大きさです。これまでの研究で、マイクロプラスチックやナノプラスチックが人間の血液や臓器などから検出されています。なお、1ナノメートル(1nm)は1マイクロメートルの1000分の1です。

サンパウロ大学の研究概要
 サンパウロ大学の研究チームによる査読付き論文では、鼻腔の上部にある嗅覚を感じる部分(嗅覚上皮)の上にある脳の嗅球(しゅうきゅう;嗅覚の中枢)について調査が行われました。15人の遺体の嗅球からサンプルを採取した結果、15人中8人の嗅球から、包装や衣服、家庭用品など、日常的に使用されている製品由来の16種類の合成ポリマー粒子(マイクロプラスチック)が検出されました。

調査結果の詳細
 詳細としては、死亡した15人中8人から合計16個の合成ポリマー粒子および繊維が確認され、嗅球あたり1〜4個のマイクロプラスチックが含まれていました。このうち75%が粒子で、その83.4%が断片状、16.6%が球状でした。25%は繊維(長さと幅の比が3を超えたもの)でした。粒子の平均長さは12.1μm、範囲は5.5〜26.4μm、平均幅は8.9μm、範囲は3.0〜25.4μmでした。繊維の平均長さは21.4μm、範囲は19.0〜24.5μm、平均幅は3.8μm、範囲は3.0〜6.0μmでした。

検出されたプラスチックの種類
 検出されたプラスチックの種類として、ポリプロピレンが最も多く(43.8%)、次いでポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン酢酸ビニル(12.5%)が続きました。その他、ポリエチレン、ペルロン・ポリアミド、ウール・ポリプロピレンがそれぞれ6.3%含まれていました。また、これらのマイクロプラスチック粒子と繊維は風化の兆候を示していました。

ナノプラスチックの可能性
 この研究では、マイクロプラスチックに焦点を当てていますが、さらに小さいナノプラスチックも嗅球に多く存在している可能性があります。

マイクロプラスチックの体内移動経路
 この研究の意義は、マイクロプラスチックが呼吸を通じて体内に入り、肺から血流に乗って血液脳関門を通過して脳に達するルートと、鼻から直接脳の嗅球に達するルートの2つの経路があることを示した点です。

室内環境が主な発生源
 嗅球で検出されたマイクロプラスチックは、包装材や衣服、カーテン、クッション、テーブルクロス、装飾品、カーペットなどに使用されるポリプロピレン、ナイロン/ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレン酢酸ビニルなどの合成プラスチックに対応しており、室内環境が吸入されるマイクロプラスチックの主な発生源であることが示唆されています。

プラスチック依存を減らす対策
 対策としては、室内の空気を汚染するプラスチックを減らすために、包装材や衣服、カーテン、クッション、テーブルクロス、装飾品、カーペット、スリッパなどに天然素材を使用し、合成繊維やプラスチックを避けること、また、毎日掃除機をかけることが推奨されます。プラスチックに依存しない生活を心がけましょう。

(運営委員 小寺正明)

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■  <4> 地域からの報告
■    小山の環境を考える市民の会 代表 楠 通昭さんからの報告
■            <3R政策地域研究会in栃木>
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(2024年1月〜9月)
栃木県では小山広域の中で地域の環境問題に取り組む小山市の「小山の環境を考える市民の会」と下野市の「環境問題を考える会」の2団体が交流しながら活動しています。今回も当会の3R全国ネットワークのオンラインセミナー、意見交換会に参加し、そしてニュースを定例会などで活用し、下記の講演会の開催や各種イベント活動を行いました。

1.「燃やすごみ減量化」活動
小山広域では廃棄物減量化対策推進検討会(小山、下野各1名委員参加)を設置して2022年6月から約2年間にわたり審議を続け「単純指定ごみ袋制」(非有料化)で分別徹底を図り「燃やすごみ減量化」に繋げることになり10月1日から実施されます。それに関連する下記の活動に参加しました。
@ 「ごみ処理基本計画(案)」・「指定ゴミ袋制度基本計画(案)」に対するパブコメへの意見提出(2月)
A 「指定ゴミ袋制度」住民説明会への参加(8月〜9月)
今後、分別意識の向上で、どの程度ごみ減量が出来るか注目すると共に、製品プラ、雑紙の禁忌品の再資源化に注目していきます。

2.総会・春の環境講演会の開催(小山、5月)
テーマ:なぜ、有機農業は広がらないのか?―日本農業の問題と展望への試論―
講師:館野 廣幸氏 館野かえる農場代表

3.総会・記念講演会の開催(下野、7月)
テーマ:福島原発視察報告、そして原発を考える
講師:中里 勝芳氏 日大特任教授

4. 広報
@ 市民活動センター広報誌「おやまーる」23号「登録団体紹介」で活動アピール(小山、2月)
A 下野市地域FM局「ゆうがお」に生出演し会のアピール、活動紹介(下野、9月)

5.要望書に賛同
人工芝の助成見直し要望書(減プラネット)に賛同団体として参加(小山、下野、8月)

6.情報交換会
小山広域政策課長、小山市環境課長と個別にプラごみ一括回収の進捗状況について(小山、9月)

〈おまけ情報:自然環境の生物多様性ニュース〉
北関東4県にまたがる渡良瀬遊水地では今年は5年連続でコウノトリが野生繁殖し3羽が7月に無事巣立し、累計で11羽になりました。野田市、鴻巣市などの放鳥、野生復帰分を含めると関東地方には約25羽位、生息し飛翔しています。皆さんも時々、気を付けて空を見上げてください。

------------------------------- 事務局からのお知らせ------------------------------

● 会議開催日程
◎ 運営委員会 : 2024年10月11 日(金)19:30〜21:00・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
URL : http://www.citizens-i.org/gomi0/
〒 102-0093 東京都千代田区平河町2-12-2 藤森ビル6B
市民運動全国センター内
TEL/03-3234-3844   FAX/03-3263-9463

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