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■ 第270号(2025年1月17日発行)
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容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース
第 270号 2025 年 1 月 17 日
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慎んで初春のお慶びを申し上げます。
昨年11月末から韓国釜山で開かれたプラスチック条約政府間交渉委員会INC-5(国際的なプラスチック汚染を2040年までに解決するための法的拘束力のある国際条約策定会議第5回)では、生産規制等で合意がとれず、会議は今年に持ち越されました。
現在世界中で、製品や材料をできるだけ長く、最高の価値で流通させる循環型経済・サーキュラーエコノミー(CE)が進められており、世界各国はCEと同時に、実効性を高めるために容器包装等のEPR(拡大生産者責任)も併せて促進しています。
全てのEU加盟国は、2024年までに、全種類の包装材を対象にEPRシステムの確立を求められており、さらに2025年までに、おもちゃ、たばこのフィルター、スポーツ・レジャー用品、ガーデン用品にも広げます。イギリス、南アフリカ、チリ、コロンビア、ケニアなどもすべての包装材にEPRが導入され、ベトナム、インドも独自のEPR法を進めており、アメリカ・オレゴン州やメイン州、ニュージーランドやエクアドルなど、その他の国でもEPR法の導入や策定が進行中です。
日本ではWWFジャパンが事務局となり「国際プラスチック条約企業連合」が発足(キリンホールディングス、コカ・コーラジャパン、テラサイクル等10社)。「CEのアプローチにかかわるプラスチックの生産と使用の削減」「事業者に対して使用後の回収・処理コストを負担し、適切に管理することを義務付ける拡大生産者責任(EPR)制度の確立」などの声明を発表しました。
しかし、昨年のプラスチック条約採決では、参加国の過半数(100/170)が、有害な化学物質の生産と使用の禁止を求め、議長の素案に盛り込まれたにもかかわらず、産油国等が反対し合意に至らなかったのは残念です(日本も)。
プラスチックの削減、発生抑制のためには、廃棄物管理だけではなく、生産規制も含むEPRの促進が欠かせません。日本も、EUなどの動きとともに、早急にEPRの導入を進め、今年こそ、国際条約の合意に貢献してほしいものです。
(運営委員長 中井八千代)
------- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------
巻頭言
<1> 【レポート】 水環境全体の中でプラスチックごみを考える
<2> 地域からの報告 NPO法人 環境市民・堀孝弘さんからの報告
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■ <1>【 レポート】 水環境全体の中でプラスチックごみを考える
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昨年12月に、第10回川ごみサミットが開催されました。河川や海洋環境保全等に取り組む市民団体や個人、行政担当者、民間事業者、研究者など、多様な主体が一同に集い情報・意見交換をし、川ごみ問題の根本解決のための検討を深めることを目的にします。主催は全国川ごみネットワーク。
国土交通省から、川ごみ対策として行う具体的な事例などを紹介。農林水産省における取組としては、プラスチック被覆肥料の肥料袋への表示や様々な代替技術事例等を紹介。農畜産業プラスチック対策強化事業についても説明されました。一方、一般社団法人JEANの小島あずささんは、20年以上も前からプラスチック肥料殻の漂着が確認され、研究者や販売企業、業界団体とも面談し認識されていたこと。20年以上経過したが現場の改善は実現していないことを紹介。
環境省 海洋プラスチック汚染対策室からは、マイクロプラスチックの海洋流出防止・代替素材展開に関する政府方針などを報告。人工芝関連については、プラスチック・スマート懇話会で議論し、対策の啓発をしていることなどが伝えられました。
山梨大学 風間名誉教授からは、私たちはどんな水環境を望んでいるのかの視点に立ち、市民レベルでの水質一斉調査、ごみマップ、水環境指標、行政レベルでの流域治水などの取り組みについて説明がされました。
最後に、同志社大学原田准教授から、
●肥料カプセルばかりではなく、川ごみ全般について、法的に「ごみ」と位置付けられていなくて、その責任の所在がとても困難である。
●マップなどでも市民参加型調査や市民科学などいろんな人が参加できるようの仕組みがあるとよい。ことなどがまとめとして伝えられました。
省庁を越えた連携、セクターを越えたさらなる連携が必要であることがあらためて確認されたとともに、水環境全体の中で水質ともに「ごみ」もひとつの構成要素とし総合的に考えていくことが大切であることなどが共有されました。
※詳細は 全国川ごみネットワークのホームページをご参照ください。期間限定で録画映像も公開しています。
(運営委員 伊藤浩子)
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■ <2> 地域からの報告 NPO法人 環境市民・堀孝弘さんからの報告
■ < 3R政策地域研究会 in 京都>
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容器包装の3Rを進める全国ネットワークのニュースで何度か取り上げてもらいましたが、2024年9月から11月末まで、スーパーマーケット(以下、スーパー)をはじめ全国の野菜・果物を扱う小売店(個人経営き除く)を対象に「お店のプラスチック調査」を行いました。その結果の一部をお知らせします。
調査の目的については、すでに本ネットワークニュースでお知らせしていますが、青果物をおもな対象に、プラスチック(以下、プラと省略)包装の現状および削減の好事例把握などの他、多くの消費者にまだ多くのプラ包装が使われていることに気づいてもらうことや、流通事業者と「未来の売り方、買い方」を考える基礎資料づくりなどをあげていました。
【2023年との比較】
一昨年(2023年)も調査を行いましたが、調査参加者から行動可能圏や日時を事前にお知らせいただき、「複数人で、平日の2時から4時の間に実施」を条件に調査対象店の本社と交渉し、「許可」を得た店舗のみ調査入店してもらうというやり方を採りました。それに対して、昨年(2024年)は調査項目を大幅に減らすとともに、「買い物のついでにプラ調査」をコンセプトに、スマホアプリで調査および結果送信できるようにするなど、調査の敷居を低くしたことで、調査店舗数が大幅に増えました。
調査の規模は、2023年が15都道府県137店でしたが、2024年は40都道府県1,300店以上になりました。参加者は200人以上になります。調査店のうちスーパーは1,240店で、重複調査店を除くと1,180店になりました。この数は全国のスーパー店舗数の5%以上になります。他の業態はドラッグストア27店、コンビニエンスストア8店、その他(道の駅や産直市場、デパ地下青果売り場など)が50店(計80店)でした。
【2023年の宿題と2024年調査の成果】
2023年の調査で、青果物売り場のはだか売り(無包装販売)の割合を20%前後としましたが、10種の野菜・果物の品目数と棚面積比で調べた結果でした。2024年は「青果物売り場全体のはだか売り商品率(棚面積、目視)」と5種の野菜・果物の品目数(実測)で、無包装販売(はだか売り)の割合を調べてもらいました。結果、青果物売り場のはだか売り率(目視)は12.5%となりました。
また、2023年の調査で「プラ包装の西高東低(西日本の方がプラ包装が多い)」が見えましたが、調査店や調査地域が限られたため、言い切ることはできませんでした。2024年の調査でも、売り場全体、5種の野菜・果物の品目数、いずれも西日本の方がプラ包装が多いという結果が出ました。
【今後の課題】
プラ包装の少ない地域にはどのような特徴や教訓があるか、また、市民・消費者から流通事業者に働きかける取組として、今回の調査手法および結果をどのように活かすことができるか、こういったことを調べ、考えていくことが大きな課題として残っています。
調査結果報告とあわせて、こういったことを考える場として、3月25日午後、京都市内でイベントの開催を予定しています。ご関心のある人は、以下までお問い合わせください↓
認定NPO法人環境市民 電話: 075-211-3521 info@ kankyoshimin.org https://kankyoshimin.org
------------------------------- 事務局からのお知らせ------------------------------
● 会議開催日程
◎ 運営委員会 : 2025年1月21日(火)19:30〜21:00・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。ご不要の方はご連絡ください。
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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
URL : http://www.citizens-i.org/gomi0/
〒 102-0093 東京都千代田区平河町2-12-2 藤森ビル6B
市民運動全国センター内
TEL/03-3234-3844 FAX/03-3263-9463
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