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「メールニュース」 バックナンバー

第271号(2025年2月21日発行)

  

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   容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 271号   2025 年 2 月 21 日

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<めざすはプラスチック削減>

 今年の2月当初に練馬区で『みんなで話そう!気候変動!〜未来の地球にできること〜』をテーマに講演会を企画しました。講師はまだ30代の若者。家族旅行で行った沖縄でサンゴに出会い、サンゴに魅せられ、大学で海洋科学の研究に携わり、その後、環境問題にも取り組む企業に就職、洗濯槽から出るマイクロファイバーを取る洗濯袋の開発に従事し、今は「農業就労に道を見つけた」という、変わった経歴の持ち主です。

 今回の講演会は講師の一方的な話を聞くのではなく、参加者も「自分が『未来の地球にできること』を話そう」ということで始まりました。講師が実体験した、気候変動による地球環境の変化をビデオで見ながら、その原因、また気候変動に対して、自分でできることは?と、会場とのやり取りが続きます。その中でごみの問題が出てきました。もちろん、プラスチック製品によるごみも話題です。CO2削減も重要問題ですから、プラスチックは燃やすのは論外です。と、会場内で合意。そこから自由討論。「プラスチックは石油なので、埋めれば石油になる。いずれ新しい素材が出てくるからそれまで埋めておけばよい」「分別して、回収すればよい」「プラスチック自体に問題があるのだから使わない方がいい」と、10代も参加者も参加して討論白熱!そこで講師が「減らしていくことですよ。ここまで拡大したプラスチック、減らしていかなくてはだめでしょ!」と一言。全員で「納得」。そう!プラスチックは減らしていくことが大事。

 先日立憲民主党環境部会のヒアリングに中井さんと参加しました。
プラスチック問題に取り組む環境4団体のレクチャーの最後に、3R全国ネットは「EPR(拡大生産者責任)によるプラスチック削減が必要です」と訴えてきました。SDGs12番「つくる責任、つかう責任」を法整備していくことが、3R全国ネットの目標である必要性を改めて感じました。

(運営委員 大島いずみ)

------- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------

巻頭言
<1> 第24回・第25回プラスチック削減オンライン連続セミナー開始
<2>【レポート】 生分解性プラのポリ乳酸が精子に悪影響?マウスで判明
<3> 地域からの報告 福岡県大木町の境公雄さんからの報告

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■  <1>第24回・第25回プラスチック削減
■          オンライン連続セミナーにご参加ください!

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<第24回プラスチック削減オンライン連続セミナー>

今回お呼びする井田哲治さんは、現在共同通信社編集委員兼論説委員をされており、 環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材されてこられました。また昨年の国際プラスチック条約INK5の交渉等について、詳しくお話いただきます。
著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。

日時: 2025年4月26日(土) 10:00〜11:30(質疑含)
演題『プラスチック汚染対策の今=世界と日本』
講師: 井田哲治さん(共同通信社編集委員兼論説委員)
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<第25回プラスチック削減オンライン連続セミナー>

これまで主にプラスチック削減についてのセミナーを開催してきましたが、今回は、プラスチックの焼却が気候変動にも少なからず関わっていることから、気候変動の専門家である江守正多先生をお招きしました。分かり易く詳しくお話していただきます。

日時: 2025年5月22日(木)19:30〜21:00(質疑含)
演題: 『気候の危機にどう向き合うか』
講師: 江守 正多さん(東京大学未来ビジョン研究センター教授(兼:総合文化研究科))
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参加費: 無料またはカンパ (申し込み方法等の詳細は、メールニュース3月号に掲載します。)
まずは日程を、ご予定ください。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

(運営委員長 中井八千代) 

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■  <2>【 レポート】 生分解性プラのポリ乳酸が精子に悪影響?
■                        マウスで判明

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 2025年1月27日、北京大学第一病院の姜輝教授チームなどは材料科学分野の学術誌ACS Nanoに発表した論文を紹介します。この研究は、「環境にやさしい」とされる生分解性プラスチックのひとつであるポリ乳酸(PLA)が、実は体内で分解されるとマイクロプラスチックやナノプラスチックになり、雄の生殖機能に悪影響を及ぼす可能性があるかどうかを調べたものです。

【研究の流れと主な発見】
体内への取り込みと分布
 マウスがPLAのマイクロプラスチックを摂取すると、消化器官で分解され、非常に小さなPLA粒子(ナノプラスチック)になります。
これらの小さな粒子は、血液精巣関門(精巣を守るバリア)を通り抜け、精子が作られる場所にたまります。

精子への影響
 長期間PLAにさらされたマウスは、精子の数が減ったり、運動能力が低下したり、形が異常になったり、性ホルモンのバランスが崩れるなど、明らかな生殖障害を示しました。

細胞内でのダメージのメカニズム
 PLAは精巣の保護バリア(BTB)を傷つけるだけでなく、精子やその周りの細胞の「ミトコンドリア」(エネルギーを作る部分)の働きを阻害しました。
その結果、ミトコンドリアから有害な活性酸素が過剰に出され、酸化ストレスという状態を引き起こして、さらなるダメージにつながりました。
特に、非常に小さいPLAナノプラスチックは、精子のミトコンドリアに入り込み、その構造を破壊し、ダメージの程度は摂取量に依存していました。

遺伝子への影響
 細胞内の遺伝子の働きを調べたところ、PLA粒子が精子形成に必要な重要な遺伝子の働きを阻害していることがわかりました。

【まとめ】
 この研究から、ポリ乳酸が分解されると生じるマイクロ・ナノプラスチックが、精巣を守るバリアを破り、エネルギーを作る細胞の部分(ミトコンドリア)を損傷することで、精子の形成や機能に大きな悪影響を及ぼす可能性が明らかになりました。つまり、生分解性プラスチックであっても、その分解産物が生殖能力に害を与えるリスクがあるということです。

(運営委員 小寺正明)

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■ <3> 地域からの報告 福岡県大木町 境公雄さんからの報告
■          < 3R政策地域研究会 in 九州>

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 大木町を中心に活動する環境市民団体「あーすくらぶ」(荒木ふさえ会長)では、2月1日に三重大学、立花義裕教授をお招きして、「気候危機、どうなるこれからの暮らし〜春と秋が消え二季になるって本当?〜」というテーマの学習会を開催しました。

 昨年は世界の平均気温が1.6度上昇し、初めてパリ協定の目標である1.5度を超えました。日本でも昨年は平年(2020年までの30年平均)を1.46度上回り、一昨年に続き最高記録を大きく更新しています。更に日本の平均気温のトップ6は、19−24年の6年間に集中しており、日本における温暖化の進行が特に顕著になっています。立花教授は、これから春と秋がほとんどなくなり、暑い暑い夏が長く続き、いきなり寒い冬を迎える、このまま気候変動が進行すると、日本の四季が消え、長い夏と冬の二季になる、と警鐘を鳴らしています。

 特に地球上で気候変動の最も大きな影響を受けている地域の一つが日本であり、夏は猛暑、豪雨、台風に見舞われ、冬は寒波と豪雪に見舞われるようになる(すでにその現象が現れていますが)という事でした。

 その原因は、(1)北極の急激な気温上昇により、偏西風の流れが緩やかになり、大きく蛇行しやすくなっている。日本付近では、夏は北に大きく蛇行し、冬は南に大きく蛇行している。その結果、夏は暖気が長く居座り猛暑となるが、冬は北極の寒気が分散して日本付近に流れ込み、寒波が襲来しやすくなる。

 (2)日本周辺の海水温がこれまでの常識では考えられないほど上昇している。東北や北海道沖など高いところでは5度以上上昇しており、地球上でも突出している。海水温が高いと大気中の水蒸気が大幅に増え、夏の豪雨、台風の発達、冬の寒波が来れば豪雪となる。

 (3)偏西風の流れが緩やかになったことが原因で、暖流である黒潮の流れがが大きく変化している。これまで千葉沖で南に向かっていたが、現在では北海道付近にまで北上し蛇行している・・・という説明でした。

 地球の平均気温が1.5度を超えると後戻りできなくなると警鐘を鳴らす科学者が多く、ほとんど猶予はありません。国連のグテーレス事務総長は、「人類は地獄の門を開けてしまった」と危機感を顕わにしていますが、一方では人々の関心は低く(特に日本では)、世界的に対策が進んでいません。「金だけ・今だけ・自分だけ」という価値観が世界中に広がりを見せており、気候変動対策が手遅れにならないことを願うばかりです。

 あーすくらぶは平成10年に設立し、様々な環境活動を行うことで、大木町の環境政策を支えてきました。数年前から活動を休止していましたが、昨年秋から新たに活動を再開し、昨年は、谷口たかひさ氏を迎えての講演、同志社大学、原田禎夫准教授を迎えての「プラごみセミナー」を開催しています。主にSNSを通じての交流や情報交換を行い、環境に関心のある人のネットワークを広げる活動を行う予定です。現在、全国から登録会員を募集しています。

------------------------------- 事務局からのお知らせ------------------------------

● 会議開催日程
◎ 運営委員会 : 2025年2月25日(火)19:30〜21:00・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
URL : http://www.citizens-i.org/gomi0/
〒 102-0093 東京都千代田区平河町2-12-2 藤森ビル6B
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TEL/03-3234-3844   FAX/03-3263-9463

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