緊急集会『さあ始めよう!容リ法の見直し』
緊急院内集会『さあ、始めよう!―容リ法の役割分担の見直しー』(10月25日)開催報告
全国の皆さまにご協力いただいた“容リ法見直しと2R促進を求める”国会請願署名は、3.11の東日本大震災や原発震災という未曾有の国難に加え、延長国会の会期末における首相交替という激動の中、請願の採択は危ぶまれておりましたが、無事8 月 31 日の衆議院環境委員会と参議院環境委員会で全会一致で採択されました。まさしく“市民の思い”が国会に届いた瞬間です。
このため3R全国ネットでは、この“市民の思い”を確実に法改正へと結実させるべく、ご協力いただいた国会議員、賛同いただいた自治体首長、関連省庁の皆々様などをお招きして、緊急で院内集会を開催しました。以下、概要を報告します。
・集会名『さあ、始めよう!―容リ法の役割分担の見直しー』
・日時 10月25日(火)14:00〜16:30
・場所 衆議院 第2議員会館1F
【プログラム】
・開会あいさつ(羽賀育子3R全国ネット副運営委員長)
・経過説明(中村秀次3R全国ネット事務局次長)
・国会議員のごあいさつ
・基調講演 森口祐一さん(東京大学大学院教授)『3R社会の将来展望』
・自治体からの報告(山下真生駒市長、中ノ森愼一大木町町議会議長)
・首長メッセージ* クリックいただくとメッセージのPDFファイルが開きます。
(新宿区長、江東区長、杉並区長、江戸川区長、世田谷区長、小平市長、武蔵野市長)
・賛同事業者発言 吉川康彦全国びん商連合会会長
・関連省庁からの発言
・賛同団体・会場からの発言
【出席いただいた国会議員のみなさま 】
(国会日程により、さまざまな委員会と重なってしまいましたが、以下の方々が委員会の合間をぬってご参加いただきました。)
・衆議院 森岡洋一郎さん(民)、、小野塚勝俊さん(民)、木内孝胤さん(民)、吉野正芳さん(自)、田中和徳さん(自)、
・参議院 大河原雅子さん(民)、吉田忠智さん(社)、水野賢一さん(み)、川田龍平さん(み)
【秘書の方が出席いただいた国会議員 】
・衆議院 田島一成さん(民)、城井崇さん(民)、工藤仁美さん(民)、森山浩行さん(民)、
黒岩宇洋さん(民)、藤田一枝さん(民)、江端貴子さん(民)、井上信治さん(自)、伊吹文明さん(自)、江田康幸さん(公)、
*なお、公明党政務調査会担当部長も参加いただきました。
【関連省庁からの出席者】
・環境省 森下哲リサイクル推進室長、沼田正樹室長補佐、八巻順室長補佐
・経済産業省 小泉朋幸リサイクル推進課課長補佐
・農林水産省 渡邉明博容器包装リサイクル班課長補佐
*参加者は、総勢で120名規模の集会となりました。
【森口先生の基調講演のポイント】(ご講演資料より抜粋)
<容リ法見直しに向けた論点>
・現行法の基本的な枠組みを維持したまま部分的な改善を目指すのか、枠組みを大きく見直すのか? (とくにプラスチック製容器包装)
・再商品化適合物を作るところまでが自治体、そこから先が事業者、という線引きは再商品化手法の側からみて合理的か?
・自治体が収集する容器包装だけを対象とすることが合理的か?
・プラスチックについて、容器包装だけを分別対象とすることが合理的か?
・容リ法による分別収集の有無もさることながら、市区町村によって分別区分がまちまちであることが容器包装の適切な分別を妨げていないか?
・分別され、再商品化されることに要した費用を負担するのではなく、あらかじめ全量に対する費用を負担したうえで、3Rが進めば費用負担が減る仕組みを導入できないか?→リデュース、価値の高いリユース・リサイクルに対するインセンティブ
<循環型社会に関する私見>
・優れた技術を生かしつつ、足るを知る心を大事にし、「少ないモノで豊かな社会」へと次第に移り変わっていくことが資源小国・技術立国日本の生きる道。
・こうした社会の大きな変革は一朝一夕にはできない。一つ一つの社会の仕組みを地道にその方向に向けていくことが必要。
・公平な負担のもとで、より有効なリサイクルの仕組みを考えることは可能(今の容器包装リサイクルの仕組みは改善すべき点が多い)。優れた技術、熱心な市民の行動の両方を有効にいかす仕組みを考えるべき。
・しかし、リサイクルだけでごみ問題や資源問題が根本的に解決できるわけではない。リサイクルはあくまで手段の一つ。
・ごみ問題やリサイクルを通じて、より広い視点で環境問題や社会のしくみに関心をもつことにも大きな意味がある。
【国会議員の皆様の発言ポイント】(ご発言順)
● 民主党の衆議院議員の木内孝胤さん
地元でも皆さんの署名活動のお手伝いをしてきた。
発生抑制と再使用を促進するしくみの検討を求める国会請願が
衆議院と参議院の環境委員会で採択されたことについては、
皆さんの活動に深く敬意を表したい。
●社会民主党の参議院議員の吉田忠智さん
容リ法は1995年に不十分な形で施行され、2006年の改正でも多くの課題を抱えたまま執行されている。請願の採択を受けて、これからの法改正に向けて、社民党も皆さんと共に力強く取り組んでいきたい。
●民主党の参議院議員の大河原雅子さん
政権交代の成果もあり、請願が採択された。が、請願は、国会最終日の常任理事会で決まるため、自治体議会とは異なり議会で議論をして決めたわけではない。このため、請願が採択されたことを広める必要がある。今、東日本大震災の影響で、大事な課題が見失われがちである。ぜひ今日を新たなスタートに。環境委員会には所属していないが、法改正に向けて、市民が求める・自治体が求める容リ法のため、ロビングを進めたい。
●みんなの党の参議院議員の水野賢一さん
環境委員会で、全会派一致で採択されたことはよかった。前回の改正時には費用負担が問題になった。自治体が3000億円に事業者400億円ではアンバランスであるので見直すべきとの論議に。税金を使わないで内部化する方向に賛成である。請願は採択されるためには“拡大生産者責任”というような先鋭的な意見は、請願の文言から落とされていると思われるが、その辺の気持ちは察しており、そういう方向で取り組んでゆきたい。
●自由民主党の衆議院議員の田中和徳さん
容リ法の制定時より、使い捨て容器が増えてしまった。コンビニなどには使い捨て容器しかない。リデュース、リユースの2Rは進んでいない。手間ひまかけてリサイクルすることがいいのか。元栓を閉めることが優先されるのではないか。2Rの優先を政府にきちんと申し上げる。自由民主党の中にもいろんな意見はあるが、「足るを知る経済」を実践してゆくことが求められているのではないか。政治は結果を出さなければならない。今後とも、議会の中で頑張ってゆく。
●民主党の衆議院議員の森岡洋一郎さん
環境委員会から直接参加した。前回(5月30日)の集会では、請願採択は難しいと話した。地方議会は首長に議会が物を申すからよいが、国会では政府に物を申すことになるので難しかった。その中での10年ぶりの環境委員会での採択は、国会の中にひとつの意思をつくったといえる。2Rの請願は会派を超えて心に響いたのであろう。これからが本番である。関係する事業者も多く、政策にしてゆくのは難しいこともあるであろうが、これからも微力ながら頑張りたい。
●みんなの党の参議院議員の川田龍平さん
いま、厚生労働委員会で、子供たちを放射能から守るための法律を準備する活動をしている。前に環境委員会にいたときに感じていたことは、焼却場建設のために公金が投入されている問題がある。焼却場をつくれば、燃やしたほうがよくなるので、結果としてリサイクルが進まない。赤字国債でできることも問題。お金の流れを変えてゆかないとリサイクルは進まない。いかに燃やさないで、3Rを進めてゆくかを考えねばならない。
●民主党の衆議院議員の小野塚勝俊さん
政治の世界に入ったきっかけは環境問題であった。政治の世界では臥龍点睛を欠くようなことがある。今回の請願もこれからが正念場である。まだまだ国会議員の中にも容リ法の問題を十分にわかってない者もいる。この問題をしっかりと広めて、法改正の達成まで取り組んでゆきたい。
●民主党の衆議院議員の江端貴子さん
(公務で参加はいただけませんでしたが、以下のメッセージを寄せていただきました。)
皆様方の「容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための仕組みの検討を求める」国会請願署名活動への取り組みに、心より敬意を表させていただきます。皆様方の熱心な活動によって、この請願署名が衆議院環境委員会と参議院環境委員会で採択されたことに、私も賛同国会議員の一人として、喜びを共に分かち合いたいと思います。しかし、これからが正念場です。容リ法の改正に向けて、私も微力ながら、皆様のご支援をさせていただく所存です。ともに頑張りましょう。
●公明党の衆議院議員の漆原良夫さん
(公務で参加はいただけませんでしたが、当日、メッセージを寄せていただきました。)
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緊急院内集会のご盛会、誠におめでとうございます。関係各位の不断の御尽力に心から敬意を表しますとともに、本日御参会の皆様方の益々の御活躍、御健勝を衷心よりお祈り申し上げます。
公明党国会対策委員長 衆議院議員 漆原 良夫
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関連省庁から発言された主たるポイントは以下のとおりです。
【環境省】
容リ法の見直しは2013年4月(平成25年4月)であり、審議会がいつから始まるかは決まっていない。関係省庁ともにまだ具体的なイメージは持っていない。、が、何もしないわけではなく、しっかりと準備はしてゆきたい。
【経済産業省】
法律上は、改正法施行の5年後に必要があれば検討して必要な措置を講じるというのが見直しの時間軸である。採択された請願の中身も含め、審議会等の場で関係者の意見を交換しながら、相互理解のもと、適正な見直しをしたい。
【農林水産省】
容リ法で再商品化費用を支払っている事業者の半数は食品事業者であり、農林水産省も事業者指導等でかかわっている。法改正の審議会は環境省・経産省となるが、農水省も様々な関係者と連携しながら、環境にいい容器包装を検討するなど、役立つような協力をしてゆきたい。
以上、緊急の集会ではありましたが、賛同団体や会場発言を含め、とても中身の濃い集会となり、今回の請願採択は、環境委員会で10年ぶりという、たいへん大きな一歩となった成果を確認しました。そして、市民の望む方向での容リ法改正の実現はこれからが正念場となることを踏まえ、これから、私たちの請願が採択されたことを広めながら、次なるステップに進む決意を共有しました。
(文責/3R全国ネット事務局)