学習会 『韓国の容器包装リサイクル制度』
2011年11月28日、『韓国の容器包装リサイクル制度』と題して、3R全国ネットの運営委員でもある国際環境NGO FoE Japanの瀬口亮子さん、市民立法機構の廣瀬稔也さん、中国や韓国と環境協力を進める活動をしている東アジア環境情報発伝所事務局長の朴梅花さんから、お話をうかがいました。
■テーマ 『韓国の容器包装リサイクル制度』
【日 時】 2011年11月28日(月)14:00〜16:30
【場 所】 飯田橋セントラルプラザ 17F(教室Cルーム)
【主 催】 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
<講演のポイント>
◎韓国の廃棄物の現状
・韓国の廃棄物の発生量は増加傾向にあるが、家庭からの生活廃棄物の発生量は1日あたり約5万トンとおおむね横ばい状態。廃棄物全体の約8割がリサイクルされている。
・2003年1月から改正された「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」(1992年制定)が施行され、生産者責任リサイクル制度(EPR制度)が導入されることとなった。このEPR制度によって、生産者にリサイクル義務が課され、リサイクル義務率が設定された。
◎韓国の容器包装リサイクル制度の概要
・EPR制度の対象は、生産・流通段階における材質・構造の改善や回収・リサイクル促進の余地がある、または発生量が多いものとなっている。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品やタイヤ、蛍光灯、潤滑油、電池類、コンピューター、オーディオ、携帯電話、プリンター、コピー機、FAXなどの製品と共に、以下の容器包装が対象となっている。
紙パック、缶、ガラスびん、PETボトル(飲食料品、酒類、化粧品、洗剤類、一部医薬品等) (2003年より追加)プラスチック包装材(飲食料品、医薬品、洗剤類、化粧品等)、発砲合成樹脂(電子製品) |
・生産者は、品目と販売量に応じて定められたリサイクル義務率に応じて、独自に収集・リサイクルを行うか、リサイクル事業共済組合(生産者責任組織)に分担金を支払う。現在は、93%の生産者が共済組合と契約してリサイクルの義務率を達成している。また、品目ごとにリサイクル手法が規定されており、優先順位はないが、プラ容器包装にはエネルギーリカバリーを70%以下にすべきとの規定がある。リサイクルは、国内でのものだけでなく、輸出も認められている。
・長期リサイクル目標が設定されており、この目標を達成すべく毎年のリサイクル義務率が法律によって決められている。義務率を達成できない場合は、課徴金を科される。
・プラ容器包装の素材別に、上述のリサイクル事業共済組合がつくられており、生産者が共済組合に支払う分担金は、複合素材やリサイクルが困難な素材が単一素材よりも高額に設定されている。
・容器舗装には、素材別に細かい識別マークが付されている。
・韓国全体の約半数にあたる戸建住宅などからのプラ容器包装は自治体が、約半数の大規模集合住宅からは管理者が委託した民間事業者が回収する。集められたプラ容器包装は、ほとんど手選別によって分別され、リサイクル事業者に売却される(フィルム類は除く)。生産者が共済組合に支払った分担金から、選別・リサイクル事業者に支援金が支払われる。
・EPR制度の他に、「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」によって、食堂やホテル、デパートやスーパーなどで使い捨て用品使用規制が定められている。
◎韓国の容器包装リサイクルの課題
・EPR制度が、リサイクル業の市場化をめざしており、メーカーによるリデュースをうながす効果が薄い。
・リサイクル義務率以上のリサイクルを行うインセンティブが働かない。
・分別排出の不徹底と複合素材の多いフィルム類が対象となったことで多量の残差が発生
・同一包装材のEPR制度対象と非対象の存在
・EPR制度の支援金が、リサイクル業者にしから渡らず、自治体へのメリットがない。
・PETなどが中国に輸出されるようになり、原料の安定的確保が難しくなりつつある
・有価で回そうと価格を抑えるために、環境汚染などの外部費用が発生している。
・PETの材質がバラバラで無色単一素材への誘導が必要(無色7割、有色2割、複合1割)
・PETの場合、繊維原料以外の使途の創出
・過剰包装抑制の制度はあるが、市民団体などの監視に頼っており徹底されていない。
最後に、韓国の容器包装リサイクル制度からは、品目別のリサイクル目標率の設定、素材別の細かな表示、リサイクル困難物や複合素材には相応の経済負担を課している点、発生抑制を目的とした制度の導入などが、日本の容器包装リサイクル法の改正に参考になるとの意見が紹介されました。
(文責/3R全国ネット事務局)