3R政策地域研究会in北海道で公開学習会
2012年11月30日(金) 容器包装の3R政策地域研究会 in 北海道 「容リ法改正に向けた「市民案」を検討しよう!」を開催しました。
北海道は、循環ネットワーク北海道、NPO法人環境り・ふれんず、生活クラブ生協、ひがしリサイクルサービスの4団体が地域研究会を設立し、北海道地区として提案する市民案を検証してきました。 議論をさらに深めるため、北海道の活動団体、行政、事業者、有識者に参加を呼びかけ、地域学習会を開催しました。
【日時】2012年11月30日 18:00〜20:40
【場所】エルプラザ環境研修室(札幌市北区北8条西3丁目)
【参加団体】札幌市資源リサイクル事業協同組合、北海道容器商業協同組合、環境NGOezorock、 北海道紙パック回収指定業者の会 、北海道大学、 さっぽろスリムの会 札幌友の会、北海道容器包装の簡素化を進める連絡会、NPO法人 北のごみ総合研究所、ホクレン農業協同組合、市民ネットワーク北海道、循環ネットワーク北海道、ひがしリサイクルサービス、NPO法人 環境り・ふれんず、生活クラブ生活協同組合
…以上15団体21名の参加。
【講演】「容リ法」改正 市民提案のポイント
講師:庄司 元さん
(容器包装の3Rを進める全国ネットワーク運営委員
環境文明21客員研究員)
【グループディスカッション】3グループからの意見集約は以下の通り
<リユースの実情について>
・パッカー車によるびん回収では7割近くが傷ついて使えない。回収方法の改善を望む。
・市民がごみの選別の現状を知らない。極力ごみを出さない、選別の徹底が大切。
・昔はメーカーのびんを回収、洗ビンし戻していたが、今は扱うびんが激減し、びんをリユースする事がコスト面でも厳しい現状がある。
・市民の高齢化がすすむにつれ、びんを返すという事が難しくなってくるのでは。
・事業者が回収を担う場合、コスト面で負担が大きく、義務付けられない限り取り組みが困難。
・日本人は衛生面で気を使う人が多いので、メーカーとしてはクレームを避けたいとの考えから一歩進めないのではないか。
・ヨーロッパではペットボトルも10回のリユースを想定して作られているが、日本では傷が気になり実現は難しいか。
<市民の働きかけ、声>
・イベントでごみ対策を行ってきた。分別は徹底されてきたので次のステージを目指している。出店者は売りっぱなしで、ごみは主催者任せ。今のリユース、リサイクル事情と構図が一緒。
・ビールびんをスーパーに持っていくと困った顔をされる。もっとリターナブルをすすめてもらうよう働きかけるが、回収スポットが少なくなかなか実現しない。
・発生抑制、再使用の2Rを市民に知ってもらい、容器の使い捨ての意識を変えてライフスタイルの見直しをしてほしい。
・再資源化にはお金とエネルギーがとてもかかるという事を知ってもらいたい。
・2Rを優先した社会の仕組みにするため、消費者にも製品を見極める目を持ってもらうよう広報に力を入れたい。
・リサイクル費用が納税者負担であることを市民が知るべき。
<行政に望む事>
・リサイクル費用の8割以上を税金で賄っている事は納得いかない。国民の意見が反映されない国の決定は不満。間違った税金の使い方はやめてほしい。
・意識を高めるためにも自治体の会議ではペットボトルを並べるのではなく、びん入りの飲料を用意してほしい。
・容リ法が制定されたとき“使い捨て促進法”に思えた。なんでもリサイクルできますと捉えられる法律はいらない。行政が率先してリユースを進める働きかけが必要。
・リユースの学習会の開催。
・市町村ではごみ処理費用にいくら使われているか公表していない。何故か?
→集計作業が複雑なため進んで行われない。
<事業者に望む事>
・製造した事業者が自治体に全ての処理を任せているという問題。リサイクルは最後。
・ドイツでは事業者が選別施設を持っている所も。事業者は排出責任をとること。
・古紙でも再生出来ないものをつくる事業者がある。発生の段階で既に無責任。
・再資源化のしくみを事業者も交えて討議する機会が必要では。
<法改正に向けて>
・事業者の責任を明確にするために、事業者負担を上げ税金での負担を無くす事。
・事業者が容器包装を簡素にする意識を持つような仕組みづくり。
・リサイクルすればするほど自治体(納税者)負担が大きくなるという間違いを正す。
・容リ法を広く市民に理解してもらうためにも、リデュースではなく「発生抑制」と表記してほしい。
・リサイクルだけがすすみ、リユースは入口で止まったまま。資源の流れを元から考えていく必要がある。
・国民の意識にだけ委ねるのは難しい。法の整備によってリユースを“やらなければならない事”となる事を望む。
・環境負荷の大きな容器に大きな費用負担をかけられると良いと思う。これによって価格の低い(=環境負荷の小さい)容器が選ばれるようになる。
・環境負荷という点では、輸送だけを考えると移動距離が小さい方が負荷は小さい。生産システムの大型化によって低コストが実現するという点もある。様々な要因が絡むので総合的に判断する必要がある。
・有償で取引されている紙パックなどは再商品義務が免除されているが、牛乳メーカーなどは費用負担の無い紙パックからあえてびん容器に替えるのか疑問。
・発生抑制についてしっかり議論される事。
・市民案の10項目のADは一つに集約すべき。特定事業者は、市町村の分別収集、選別、保管に要した費用を負担する。
・市民案のCは法律に例外を設けないという観点からは理解できるが、一定のシステムが定着している今日、不要な混乱をさせるべきではないと思う。
・Hは必要ないと思う。目的はリサイクルではない。リサイクルが免罪符になり、発生抑制、再使
用へのインセンティブが働かなくなる。水平リサイクルならまだしも、実態はカスケードリサイ
クルやサーマルリサイクルが主体のため資源の循環や節減にもつながらず、目標設定は意味が無い。
・飲料容器(アルミ・スチール・ペットボトル)・トレイ(白トレイ)と、プラスチック容器包装
を分けて考える必要があり。
<議論の総括>
全てのグループに共通して、発生抑制を徹底するための議論がしっかり行われること。
また、リサイクルにかかる費用負担を自治体負担(納税者負担)から事業者と消費者負担に換える。
更に、市民に2R優先の社会の仕組み作りのための情報の周知することが重要であると話された。
≪北海道地域研究会より≫
公開学習会での意見を集約すると、概ね『市民案』にまとめられていますが、改正のポイント10項目の一部修正と、追記して頂きたい項目を提言致します。
※拡大生産者責任の財政的完全徹底を求める。
E市町村は、分別収集の効率化に務め、全国統一規格の廃棄物会計を公開する。
Gレジ袋は無料配布中止とする。
I行政や学校現場でのリユース瓶の使用を普及し、グリーン購入法(循環型社会の形成のためには
需要面からの取組が重要)の考え方を取り入れ、会議や給食等での2Rを行政の率先垂範を求め
る。
J容リ法で集められた資源物は、LCA(ライフサイクルアセスメント)を考慮し、地域内循環を優先とした安定したリサイクル構造とする。
*現在の特定事業者による入札制度は、再生資源の供給が不安定であるためリサイクル工場の生産に影響をもたらしています。また、環境を配慮した法律が、輸送などに環境負荷をかけてリサイクルされないような仕組みが必要なのではないか。