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国際フォーラム

2012年12月6日、 スウェーデンからEPR(拡大生産者責任)の考えを定義付けたトーマス・リンクヴィストさん、ドイツからPRO Europeのヨアヒム・クヴォーデンさんをお招きし、国際フォーラム「欧州の容器包装リサイクル制度におけるEPRの現状を聞く」を開催しました。

◆国際フォーラム ◆
「欧州の容器包装リサイクル制度におけるEPRの現状を聞く」
-日本型の新しい制度を徹底討論!

【日時】2012年12月6日(木)13:00〜17:00
【会場】國學院大学 常磐松ホール
【共催】國學院大学 環境教育プロジェクト
【主催】容器包装の3Rを進める全国ネットワーク

参加者は総勢169名で、フォーラムの内容は、たいへん充実していて、とても全容をご紹介できないのが残念ですが、海外からのお二人のご講演のポイントと、 第二部のディスカッションにご登壇頂いた皆様をご紹介させていただきます。
なお、3R全国ネットでは、フォーラムの内容を、後日報告書にまとめ発行します(2013年3月予定)ので、どうぞ、ご期待ください。

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◆「欧州の容器包装リサイクル制度における拡大生産者責任」
トーマス・リンクヴィストさん(スウェーデン・ルンド大学)

以前、製造者は製品についてリサイクル可能か否かわかっていなかった。 そこで、よりリサイクルしやすい物を製造するシステムの検討を行い、 システムにEPR(拡大生産者責任)と名称を付けた。 このことによって多くの国でこのシステムを使われるようになった。
EPRの定義は環境を良くする事と、使い終わった時に廃棄するところで意味を発 揮する。

私の先祖の代は、びんは資産として認められるぐらい価値があったが、 60年代からの大量生産・大量消費で、びんはワンウエイが主流になっている。 現在、道にびんをポイ捨てされているのは必要以上に消費をして、 しかも資源を活用できていない結果である。
過去に製造者と販売者で協定を結び資源活用を行う事を試みたが破たんした。 そんななか、法律で強制力のあるEPRが誕生した。

以前のように責任(義務)をただ企業と行政と消費者に同じように分配するのでは なく、
最も効果があり、効率的である場所に責任を分配した。 つまり権限を最も持っている場所=変えることが出来る場所であり、 EPRでは製品知識や流通のしくみを熟知している企業により多くの責任が課せら れた。 そして良い成績を残せば収益の分配も行う。

また責任にはいくつかの種類があり、 @金銭的責任、A物理的責任、B情報公開の責任であり、 これらは同じ人(事業者・消費者・政府)に配分する必要はなく、 異なる当事者に配分することが出来る。 責任をどこにするのか、(どのようにシステムを作り運用するのか)、 義務の重さのバランスをとり、実施する動機付け(インセンティブ)を どのようにするかの合意形成(コンセンサス)を十分とる必要がある。

EPRのしくみを道徳的な問題にしてはいけない。 分別してゴミを出す事を守っている人はいい人で、 守っていない人は道徳的に問題があると批判することはできない。 このシステムは問題に対する効果的かつ効率的な解決方法を見つけるものであり、 最小限の資源(労力)でおこなうものである。 またルールを作るだけでなく、決定したことを運用できているか (導入以前と変化はあったか)検証が必要である。

EPRはEU加盟国の多くで使われているが、全ての国で導入されているわけでは
無い。 また運用方法も各国さまざまである。 大切なのは、どこまで何を行うかを明確にして、それに向けて仕組みを作る事。 日本では何をどこまでしたいのかを明確にすることが大切である。
消費者が廃棄をどのように行うかは利便性と大きく関わる。 車で数キロ離れたリサイクルセンターに持ち込んだり、 20種類以上の分別をしたりすることはハードルが高い。
距離や分別の手間をどこまでかけるのか。 ヨーグルト容器など食品が付着するものを水で丹念に洗うことも、LCAを検討し なければいけない。

講演スライドはこちらからご覧いただけます。

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「欧州各国の『グリーン・ドット・システム』における生産者の役割」
ヨアヒム・クヴォーデンさん(PRO Europe 専務理事)のご講演ポイント

過去の話を聞き、同じ失敗を繰り返さないようにしてもらいたい。 ヨーロッパの現状のおかしさをわかってもらい、 欧州がいま何をしようとしているのかをお伝えする。
まず、廃棄物はゴミ問題ではなく資源として捉えてほしい。 そして活用するに当たり、LCA分析をしなければいけない。 以前廃棄物は焼却するのが一般的であったが、 現在はリサイクルを行う事が求められている。 重要なのは5年先の展望ではなく、10〜20年先を見ることが必要である。

EPRを導入している国でも方法は異なる。 デンマークは焼却施設を多く持っていたのでEPRには入らなかった。 EUでは2020年までには直接埋め立てプラは廃止する方向であるが、 南欧はリサイクルについて管理できていないし、埋め立てもまだまだある。

北・中欧は60年〜70年代から伝統的にびんなどのリユースを行っていたので 分別上手で、リサイクルも進んでいる。 分別が下手な国も、国民性やただ下手なのではない。
分別収集の歴史がいままでになかったため、 北・中欧よりも20年遅れているだけで、これからに期待できる。 リサイクルを完璧に行えている国はないし、 各国での歴史的背景が違えば方法も異なってくる。

統計に表れる数字をうのみにしてはいけない。 デンマークでガラスのリサイクル率が124%とありえない数字が出ている。 統計の数字のみでは限界がある。 何を勘定したか、計算方法などはどうだったか。数字の裏を見る必要がある。

英国は独自の排出基準を持ち、排出量を取引している。 リサイクル業者から認証を購入しないと事業ができない仕組み。 ハンガリーでは廃棄物処理は国の管轄として税金を使って処理している。 デンマークでは14,000万ユーロを徴税しているが 実際の廃棄処理費用はその25%しか使っておらず、 福祉やCO2抑制に充てられている。

廃棄されたものを回収して資源へ活用するまで、 すべて国が税金をかけて行うところもあれば、 事業者へ委託し市場原理を取り入れて処理するところもある。

自国のシステムは何を優先するのかでボトルTOボトルを優先するか、 マテリアルリサイクルを優先するのか、 リサイクル率は100%を目指すのかが変わる。 ステークホルダー(利害関係者)が納得できる方法を選ばなければならない。

新しく導入したものは、ある時点で検証・振り返りをする必要がある。 行った事は本当に有用に働いているのかを角度を変えて検証しなければいけない。 例えば、バナナでは包装したものは、していないものよりも売り上げが良かった。 食品廃棄は包材廃棄よりも環境負荷が高い。 システム導入にも柔軟性を持たせる必要がある。 システムの分析や、コストの分析等を行い、関わる組織の透明性を持たせなければ いけない。

講演スライドはこちらからご覧いただけます。

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第2部 日本の容器包装リサイクル法の改正に向けて
◆論点整理 コメンテーター 山川肇さん(京都府立大学准教授)
◆ディスカッション「徹底討論!次の容リ法で本当の3Rの実現を」
コーディネーター 田崎智宏さん((独)国立環境研究所資源循環・廃棄物研究セ
ンター主任研究員)

【ディスカッションメンバー】

山下真さん(奈良県生駒市長)、
伊藤憲夫さん(新宿区環境清掃部長)、
近藤方人さん(PETボトルリサイクル推進協議会専務理事/特定事業者)、
本田大作さん(秋田エコプラッシュ叶齧ア取締役/リサイクル事業者)、
永井達郎さん(潟Zブン&アイホールディングス総務部環境/流通事業者)、
織朱實さん(関東学院大学法学部教授)、
3R政策地域研究会の代表メンバー
3R全国ネットの運営委員&政策委員。

【省庁からのコメント発言者】
環境省 永島徹也さん(廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室/循環型社会推
進室室長)
経済産業省 影沼澤稔さん(産業技術環境局リサイクル推進課長補佐)
農林水産省 渡邉明博さん(食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室
課長補佐)