第2部 応援のメッセージ

得本輝人(自動車総連会長)

 こんにちは。並河さんから、組合の立場の個人として、何か話をということで参りました。

 今、日本が大きな転換点に立ちながら、手本が無い時代の中、どうやって新しい21世紀において、グローバル化や高齢化、環境問題に取り組み、どうやって住みやすい国づくりをしていくかが、組合の立場からだけでなく、まさに国民的課題として重要なことだと思います。組合も政策はそれなりに蓄積してきましたが、どうしても様々な面での政策の立案になると、あまりにも知らないことが多すぎます。特に行革国民会議のメンバーとして参加をしながら、また規制緩和のいろんな検討委員会でも、いかに官僚、いわゆる行政の側から情報を知らされていないかということを痛感いたしました。それだけに、情報の公開が非常に重要だと思います。と同時に、政治家とつきあっていると、票集めに一生懸命で、なかなか政策の立案という機能がありません。しかも、政策秘書を一人増やしたにもかかわらず、結局は自分の当選のためだけで、政策づくりのために本当に活用していないようです。

 また、今日ご参加の皆さんも、組合は一体何をしているのかという気持ちもあるかもしれません。私たち自身も政策づくりという面では、連合をつくり、勤労者というだけではなく、いい社会づくりのための一員として、つまり圧力団体からどう脱皮するかということを念頭に、私は意識的に組合の活動も変えていくべき時代に来ていると思います。ただ残念ながら、特に戦後のキャッチアップ過程の中では、いわゆる企業中心の会社人間に代表されるような形で、労働組合自体も企業間の競争に非常に巻き込まれたという側面がありました。これを何とかもっと産業レベルまたはナショナルレベルという形、または国民レベルという幅広い面で、今日の市民立法機構のような団体と、色々なネットワークを組みながらやっていくことが、結果として政治の活性化にもなると思います。また官主導だった法案づくりが、もっと市民の中から自分たちの頭で考えて、そして政策にしていく、または法律にしていくという形で広げていくことが、まさに今の、特に国会での議論が不足していて、言ってみれば、官僚が作った法案をベースにした議論を変えていくきっかけにもなるはずです。また、このことが、私たちが会社中心の労働運動ということから家族や市民生活ということ、特に地域住民としての活動等々が非常に弱くなっていたのを強めるための連携にもつながるのではないでしょうか。そういう面で連合や私たちの組合の中にもこの活動を知らせながら、色々な面で幅広い連携がとれていければと思います。

 それと同時に、つい最近、政治の世界、特に国会での議論で、議員立法をいろんな形で出そう出そうと言われながら、この議員立法の出し方というのは、民主党だけは違いますけれども、結果的には政党の政策責任者が合意しなければ、議員立法とはならないということをはじめて知りました。いかに、政党がグルになって、逆にいうと議員の自由な立法作成活動を自分たちの手を縛っているかということです。そういうことも、色々な立場から問題視しながら変えていくことも大事だと思いますし、また私たち組合の立場の色々な面でのご批判をいただきながら、幅広く連携できるための一翼を担いたいと思います。応援団の一人として皆様のご活躍を期待しております。どうもありがとうございました。

(司会)労働組合のリーダーの一人でいらっしゃいますので、日本の労働運動が大きく私たちと協働で動けるようにがんばっていただきたいと思います。

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