第2部 応援のメッセージ

岩崎駿介(市民政治フォーラム)

 みなさん、こんにちは。私、職業は筑波大学の助教授をしておりますが、今日は市民政治フォーラムという市民立法機構と非常に似た組織を最近立ち上げたので、連帯の挨拶をしてはどうかという須田さんのお話があり、うかがいました。

 私自身、市民になるつもりで生きてきたわけではありませんが、各種の職業を転々とする中で、いつのまにか政治・行政ではない、あるいは企業ではない、第3のセクターともいうべき市民というものの力と政治的な発言力を高めることこそが、未来を開けると考えるにいたり、諸般の活動をやっていますが、私にとっては4つめのフォーラムをつくったことになります。

 ひとつは「日本国際ボランティアセンター(JVC)」という国際協力を行う団体です。これは政府の国際協力、あるいは国際援助と称するODAに、市民が代替案として提示し行っていく行為ですが、これを長く続け、その経験に基づいて単なる現場における具体的な改善だけではなく、それを何らかの政策的に反映させようと、「市民フォーラム2001」という、環境と開発に関する市民団体を二番目につくりました。地球サミット以後、外務省、環境庁、通産省等々の省庁に対して、諸般の政策について矢継ぎ早に提言を行い、対話をもってきました。と同時に、私は第2のセクターでもある企業に対しても色々な円卓会議や申しれをやってまいりました。企業の方は、実は私たちも原発をなくすべきではないかというような円卓会議をするわけですが、ただ言っているだけではだめだということで、最近東京電力から実に多大なお金をいただきまして、「自然エネルギー推進市民フォーラム」という第三の市民団体をつくりました。これは皆さんの家庭の屋根に太陽光発電機を設置して、各家庭3kWhの電力を自分でつくる、つまり分散型エネルギーシステムというものを具体化する。

 しかしながら、2番目の政府に対しては、これまで相当のエネルギーを使いましたが、何ら変化なし、聞くだけ聞かれて何の成果もなしという経験をして、私は、結局企業と政治を結ぶ政治家に、もっと正面きって市民が取り組んでいかなければならないと考えるにいたって、「市民政治フォーラム」を、4つめの市民連絡会として最近発足させました。まだまだ極めて力弱き団体ですが、私たちはあまりにも政治について距離を取りすぎると思います。スウェーデンから来た僕の友達が、18の時に学校でも家庭でもあらゆる所で、スウェーデンは原発を持つべきかどうかという議題が投げかけられたそうです。彼女は、「18でこんなことを考えられるのかしら」と思ったが、やはり考えてそれなりに判断したということです。つまり、私たちの生活を決定する重要な問題は、日常の枠の中で討議し、参加していくということは当然として、自ら考え、自ら行動するという市民の市民たるものをいかに政治に結びつけていくかということを私はやりたいと思いました。

 しかし、私が今一番悩み逡巡しているのは、政党との関係です。つまり市民政治などといっても、騒いでいるだけでは一つも力になりません。いかなる具体的な政と政治の場に入るかが重要だと思います。実際、NGO、NGOと言われていますが、日本のNGOで一番大きい野鳥の会の会員が5万人、JVCも3000人ぐらいです。アメリカのNGOは、実に600万人などという大きな団体が数多いわけです。ですから私たち市民は、労働組合ではなく、市民たるものとして政治的な力を得て、それを背景に、具体的な立法にまで結び付けていくということで、今日お集まりの方々と同じ考え、同じ地平に立っていると思います。今後、政党との選定に関しては過酷な市民の分裂が起こる可能性があります。例えば今の従軍慰安婦の国民基金も一種の市民の二つ割り作戦に引っかかったということもあろうかと思いますが、いずれにしても仲良くそれを乗り越えて、少しでも未来を見ることができればと思います。ありがとうございました。

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